会計・税務コラム

「平成26年度 税制改正大綱」決定

2013/12/16

1.平成26年度 税制改正大綱が決定

先週12月12日に与党が「平成26年度 税制改正大綱」を決定・公表しました。
会社の税務に関して影響のある法人課税についても改正項目があります。
今回は、ほとんどの会社に影響があると思われる下記2点について解説します。

  1. 復興特別法人税の1年前倒しでの廃止
  2. 交際費の損金不算入の見直し

2.復興特別法人税の1年前倒しでの廃止

復興特別法人税は、法人の各事業年度の法人税額に10%の税率を乗じて計算した額を「復興特別法人税」として納税するもので、現行では、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの期間内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後3年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度について課されるものとされています。
わかりやすく3月決算会社を例にとれば、現行制度では、25年3月期から27年3月期までの3年間が復興特別法人税の課税対象期間となっています。

今回の大綱では、この復興特別法人税を1年前倒しで廃止することが示されています。
この通りの税制改正となった場合には、27年3月期において復興特別法人税がなくなり、現行よりも減税ということになります。

ここで一点注意したいのが、税効果会計への影響です。
復興特別法人税が廃止されることに伴い、将来の法定実効税率が下がるため、税率変更に伴う繰延税金資産の減額修正が必要となります。
税効果会計における適用税率は、「決算日現在における税法規定に従った将来の適用税率」であり、改正税法が決算日までに公布されていて、将来の税率改正が確定している場合は、改正後の税率を使用することとされています。
また、決算日後に税率の変更があった場合には、その内容及び影響を注記するものとされています。

税制改正のタイミングとそれに伴う会計処理、開示について気を付けたいところです。

3.交際費の損金不算入の見直し

現行、交際費は、いわゆる大会社については全額が損金不算入とされ、資本金の額(又は出資金の額)が1億円以下の中小法人については一定の額(※)までを損金算入できることとされています。
これに関して、今回の大綱では以下の通りとしています。

(1)交際費のうち、飲食のためにする支出についてはその50%の額の損金算入を認める。

(2)中小法人については、現行の取扱い(※)を2年間延長するとともに、上記(1)との選択適用を認める。

ここで、(1)については、企業の規模にかかわらず交際費の一部が損金算入できることとなります。「飲食のためにする支出」というのがポイントで、関連消費が盛り上がるかどうかといったところです。
(2)については、中小企業において現行の取扱いの延長に加え、今回出された(1)との選択適用ができるようになりますので、毎期、税務申告にあたって、いずれによるかの有利判断を行うステップが必要になります。
税制改正後は、交際費について、飲食とそれ以外で会計システム上の補助科目を区分する等により、飲食に係る交際費額を把握・集計できる仕組みの導入が考えられます。

※年600万円(定額控除限度額。平成25年4月1日以後に開始する事業年度から年800万円)に達するまでの金額を全額損金算入できる。ただし、平成25年3月31日までに開始する事業年度については、定額控除限度額に達するまでの金額について10%は損金の額に算入されない。

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