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2012/1/1

リース取引

リース取引とは

リース取引とは、特定の物件の所有者である貸手が、その物件の借手に対して、合意された期間(リース期間)にわたってこれを使用収益する権利を与え、借手は合意された使用料(リース料)を貸手に支払う取引をいいます。

リース取引の会計処理上の分類

リース取引は、会計基準上、以下の2つに分類されます。

ファイナンス・リース取引

(a)リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、(b)借手が当該契約に基づき使用する物件(リース物件)からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引をファイナンス・リース取引といいます。
この(a)、(b)の要件をそれぞれ、ノンキャンセラブル(解約不能)、フルペイアウトということがあります。
なお、解約不能な場合とは、法的形式上は解約可能であっても、解約に際して相当の規定損害金を支払わなければならない等の理由から、事実上解約不能と認められる場合も含まれる点に注意が必要です。
さらに、ファイナンス・リース取引は、リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に移転すると認められるかどうかによって、所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引に区分されます。

オペレーティング・リース取引

上記のファイナンス・リース取引以外のリース取引をオペレーティング・リース取引といいます。

ファイナンス・リース取引に該当するか否かの具体的判定基準

ファイナンス・リース取引は、上記「リース取引の会計処理上の分類」に記載の(a)ノンキャンセラブル(解約不能)と(b)フルペイアウトの2要件を満たすものとされていますが、具体的判定基準が以下のとおり定められています(いずれかに該当するものは、ファイナンス・リース取引と判定されます)。

現在価値基準

解約不能のリース期間中のリース料の総額の現在価値が、当該リース物件を借手が現金で購入するものと仮定した場合の合理的見積金額(見積現金購入価額)の概ね90%以上であること。

経済的耐用年数基準

解約不能のリース期間が、当該リース物件の経済的耐用年数の概ね75%以上であること(ただし、リース物件の特性等から①現在価値基準の判定結果が90%を大きく下回ることが明らかな場合は除きます)。

さらに、ファイナンス・リース取引と判定されたもののうち、以下のいずれかに該当する場合は、所有権移転ファイナンス・リース取引に該当します。

  • リース契約上、リース期間の途中又は終了後に所有権が借手に移転することとされているリース取引
  • 借手に割安購入選択権があり、その行使が確実に予想されるリース取引
  • 特別仕様によるリース物件で、リース物件の返還後、他者による利用が困難であるため、使用可能期間を通じて借手のみが使用することが明らかなリース取引

リース取引に関する会計処理の概要(借手側)

リース取引は借手側と貸手側それぞれについて会計処理が定められていますが、ここでは多くの会社が該当する借手側の処理の概略について説明します。
※詳細はリース会計基準及び同適用指針をご確認ください。

ファイナンス・リース取引

通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行います。
すなわち、リース取引の開始日に、リース物件とこれに係る債務をそれぞれ、リース資産、リース債務として計上します。
これは、法形式はリース契約であっても、会計上は、資金を借入れ、当該資金で物件を自社購入したのと同様の処理を行うことを意味します。

【リース資産・リース債務の計上額の算定】
原則:リース料総額から利息相当額の合理的な見積額を控除し、利息相当額はリース期間にわたり利息法により配分します。

【リース資産の減価償却】
所有権移転ファイナンス・リース取引: 自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定します。
所有権移転外ファイナンス・リース取引: 原則として、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定します。

所有権移転外ファイナンス・リース取引にかかる例外処理

【リース資産・リース債務の計上額の算定における利息相当額の取扱い】
リース資産総額に重要性が乏しい場合、利息相当額を控除しない(元本と利息を区分しない)方法によることができます。
この場合、リース資産・リース債務の当初計上額は、リース料総額と同額になります。
また、同時に重要性が乏しい場合、利息相当額を控除しても、利息法ではなく、定額法により費用配分することができます。
なお、ここでいう「重要性が乏しい場合」とは、未経過リース料期末残高相当額が当該期末残高、有形・無形固定資産の期末残高の合計額に占める割合が10%未満である場合をいいます。

【個々のリース資産に重要性が乏しい場合の簡便的な取扱い】
個々のリース取引に重要性が乏しい場合には、オペレーティング・リース取引の会計処理に準じて、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができます。
「個々のリース取引に重要性が乏しい場合」とは以下の場合をいいます。

  • 少額固定資産について、購入時に費用処理する方法が採用されている場合で、リース料総額が当該基準以下のリース取引
  • リース期間が1年以内のリース取引 ・企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリース取引で、リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のリース取引(契約ごとの判定)

なお、一つのリース契約に科目の異なる有形固定資産又は無形固定資産が含まれている場合、異なる科目ごとに、その合計金額により判断することが出来るとされています。

所有権移転ファイナンス・リース取引にかかる例外処理

【個々のリース資産に重要性が乏しい場合の簡便的な取扱い】
個々のリース取引に重要性が乏しい場合には、オペレーティング・リース取引の会計処理に準じて、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができます。
「個々のリース取引に重要性が乏しい場合」とは以下の場合をいいます。

  • 少額固定資産について、購入時に費用処理する方法が採用されている場合で、リース料総額が当該基準以下のリース取引
  • リース期間が1年以内のリース取引

※所有権移転外ファイナンス・リース取引における、300万円以下の場合の簡便的な取扱いはない点に注意が必要です。

以上より、ファイナンス・リース取引は、原則として売買取引に係る処理に準じて会計処理をしますが、所有権移転ファイナンス・リースか所有権移転外ファイナンス・リースかによって、利息相当額の取扱い、減価償却の方法に相違があります。
また、重要性が乏しい場合の簡便的な取扱いとして、オペレーティング・リース取引の会計処理に準じて処理することができる場合の要件に相違があります。

オペレーティング・リース取引

通常の賃貸借取引に係る方法に準じた処理

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