2012/1/1
税効果会計における税率差異とは、次の「1」と「2」の差をいいます。
事業年度末における有価証券報告書では、税効果会計関係の注記として、この税率差異の原因となった主要な項目別の内訳を開示することとされています。
企業会計と税務会計には、損益や資産・負債についての考え方に相違があるため、会計上の利益と税務計算上の課税所得に差異が生じます。
この差異全額について、差異が発生した期において繰延税金資産・負債を計上すれば、以下の関係が成り立ちます。
税引前利益×法定実効税率=税金費用(法人税等+法人税等調整額)
これは、次の算式に置き換えることもできます。
法定実効税率=税効果会計適用後の負担率(税金費用÷税引前利益)
しかし実際には、交際費のように会計上は費用であっても税務上は永久に損金にならない「永久差異」や、貸倒引当金のように計上時は税務上の損金にならなくともいずれは損金になる「一時差異」であっても、その解消時期が不明なため繰延税金資産を計上できない「評価性引当額」などの存在によって、この数式通りの関係にはなりません。
ここに税率差異が生じる理由があります。
そして、どのような理由からこの数式通りの関係にならないのか、すなわち税効果会計適用後の負担率と法定実効税率との間に差異が生じているかを明らかにするのが、税率差異の注記です。
税率差異の注記は、個別ベースはまだしも、連結ベースで作成する際には、連結消去仕訳の影響等も考慮するため複雑な計算が必要となります。