2012/1/1
デット・エクイティ・スワップとは、債権者と債務者の事後の合意によって、債権者が保有する債権を株式に変換する取引をいいます。
代表的な例としては、業績不振で財務状況が悪化している会社に対して、貸付債権を保有する金融機関が、その再建計画の一環として行うケースがありす。
デット・エクイティ・スワップは、法的手続きとしては、債権を現物出資することによって行われるのが通常です。
業績不振で財務状況が悪化している会社に対して、デット・エクイティ・スワップが行われる場合の債権者側における会計処理は以下の通りです。
すなわち、債権者は該当する債権の消滅を認識すると同時に、対価として受け取る株式を資産として認識し、消滅した債権の帳簿価額と新たに認識した株式の差額を当期の損益として処理します。
ここで、消滅した債権の帳簿価額とは、債権の取得原価から計上済みの貸倒引当金を控除した残額をいいます。
また、対価として受け取る株式は「時価」によって資産計上しますが、その時価とは以下の通りです。
取得時の時価は、市場価格に基づく価額となります。
取得時の時価は、合理的に算定された価額となります。
ここでいう合理的に算定されたか価額とは、将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引いて算定した価格(DCF法による評価額)等が該当します。
なお、財務状況が悪化している会社に対して行われるデット・エクイティ・スワップの場合、通常、その実行によって利益が発生することは極めて例外的とされています。
言い換えれば、対価として受け取る株式の時価が、消滅する債権の帳簿価額を上回ることは通常想定されていないことを意味します。