会計・税務コラム

中小企業の設備投資に関する税務上の優遇措置

2014/2/25

1.中小企業は設備投資に関する税制に注意

中小企業では、平成26年3月31日までに新品の機械等を取得して事業の用に供した場合、「特別償却」又は「税額控除」という形でその期の税額負担を軽減することができる制度があります。これを「中小企業投資促進税制」といいます。
具体的には、資本金1億円以下の会社については、通常の減価償却費に、対象となる機械等の取得価額の30%を特別償却費として加えた額を損金算入できる「特別償却」が認められています。さらに、資本金3千万円以下の会社については、特別償却の他に、取得価額の7%を税額から差し引く「税額控除」を選択適用することができます。

2.「平成26年1月20日以降」さらに有利な税制に

従来の制度は上記1の通りですが、平成26年1月20日に「産業競争力強化法」という法律が施行されたことによって、「中小企業投資促進税制」にさらなる「上乗せ措置」が導入されました。これまで以上に税額軽減効果の大きな制度となっており、設備投資を考える中小企業にとって見逃せない税制となっています。

3.「上乗せ措置」の概要

具体的には、平成26年1月20日以降に取得した一定の資産について、資本金の区分に応じて以下のとおり税務上の優遇措置を受けることができます。従来の「投資促進税制」が拡充されたものであるため「上乗せ措置」とされています。

※下の表は横にスライドできます。

資本金3千万円以下 資本金3千万円超~1億円以下
即時償却 取得価額の全額を即時償却
従来:30%の特別償却

拡充:全額を即時償却

(同左)
税額控除 取得価額の7%を税額から控除
従来:資本金3千万円超の
会社は税額控除の選択不可

拡充:3千万円超の会社も
税額控除の選択可(ただし7%)
取得価額の10%を税額から控除
従来:税額控除は7%

拡充:資本金3千万円以下の
会社の税額控除は10%に拡大

4.上乗せ措置の適用時期

平成26年1月20日以降に取得した資産について、平成29年3月末までが上乗せ措置の対象になります。
ただし、適用初年度については、決算期によって取扱いが異なる点に注意が必要です。
すなわち、平成26年3月31日までに終了する事業年度において対象資産を取得し、事業の用に供した場合は、その事業年度では税額軽減効果は受けられず、1年遅れて翌事業年度に税額軽減の効果が生じることとされています。
例えば、3月決算の会社については、平成26年1月20日から同年3月31日までに対象資産を取得した場合、当該資産が上乗せ措置の対象になるものであっても、実際に税額が軽減されるのは、翌平成27年3月期の決算・申告においてということになります。

5.上乗せ措置が適用となる資産

上乗せ措置は、企業が行う設備投資のうち、特に「生産性の向上に資する」以下の設備が対象(※1)とされています。

■先端設備

  • 機械装置
    最新モデル(ソフトウエア組込型装置は一代前モデルも含む)で、年平均1%以上生産性を向上させるもの
  • サーバー、試験・測定機器
    最新モデルで、年平均1%以上生産性を向上させるもの
  • 設備の稼働状況等の情報を収集・分析・指示するソフトウエア
    最新モデル(生産性向上の要件はなし。)

■生産ラインやオペレーションの改善に資する設備

  • 設備投資計画を作成し、投資利益率(※2)が5%以上であることについて地方経済産業局の確認を受けた投資計画(※3)に記載されたもの

※1いずれの資産についても、適用対象となるためには一定額以上の「取得価額」の要件があります。

※2投資利益率は次の算式で計算します。
「営業利益+減価償却費」の増加額 / 設備投資額 = 投資利益率

※3投資計画には、公認会計士や税理士による確認書が必要とされています。

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